「マスカットや青リンゴの甘い酸味で新鮮なフルーツのようなコーヒーです。」出た!そんなコーヒーねえわ。と、つい最近まで私も思っていましたが、世界チャンピオンのゲイシャを飲んでから悔い改めまして、で、今回のこのコーヒーは何かというと「パーチメントコーヒー」です。
パーチメントコーヒーとは
コーヒーの実と種の間に殻(カラ)というか皮というか、覆っているものが「パーチメント」日本語で内果皮と言いますが、皮にしては硬くて殻にしては薄いので、例えづらいのですがピスタチオをイメージしてもらえばいいかな。収穫したコーヒーの実から種(豆)を取り出す精選方法がいろいろありまして、そのなかでパーチメントを残したまま乾燥して、出荷された豆になります。
パーチメントコーヒーの特徴
コーヒー豆の問題は生豆を、ブラジルとか遠いところから船便で運んでくるので、運送環境や時間の経過で水分が抜けたりして、豆の状態が変化しちゃうこと。で、パーチメントがついた状態だと、保存性に優れていて、グリーンの状態を保ってくれるんだそうです。
グリーンが濃いほどフレッシュ
開けると、たしかにグリーングリーンで、こんな状態の豆は初めてです。そして、このグリーンが濃いほど、フレッシュな味わいなんだそうです。
たしかに、いろんな豆を焼いてますが、新しい豆のほうが甘味があるように感じています。なので毎月のおすそわけ販売している自家焙煎コーヒーは基本的にニュークロップ(新豆)をお届けしています。
マスカットや青リンゴの甘い酸味で新鮮なフルーツのようなコーヒー
「マスカットや青リンゴの甘い酸味で新鮮なフルーツのようなコーヒーです。」出た!そんなコーヒーねえわ。と、つい最近まで私も思っていましたが、世界チャンピオンのゲイシャを飲んでから悔い改めまして、このパーチメントコーヒーを飲んでみようと思いました。
というわけで、今月の焙煎コーヒーは「パーチメントコーヒー」なんですが、問題はこれをどうやってむくかなんすよね。
パーチメント脱穀作戦
パーチメントコーヒーで検索しながら、脱穀方法を考えてみました。
1.コーヒー豆専用脱穀機
コーヒー パーチメント 皮むき機 脱穀機 PC-1
2.プロペラ式コーヒーミル
Melittaセレクトグラインド MJ-518
3.瓶に入れて棒でつく
4.スリ鉢でごりごり
5.手でむく
AMAZONで専用の脱穀機を見つけましたが、32万円もしたので、まずはお金のかからない原始的な方法からやってみましょう。
手でむく
やっていくとだんだんコツをつかんで早くなりますが、仕事から帰ってやっていると肩が死ぬほどイタくなります。ここは人間の進化の課程で得た道具を使うべきだと、身を持ってわかりました。
スリ鉢でごりごり
柔らかい皮はとれますが、固いのは割れないし、はじいて飛んでいきます。
瓶に入れて棒でつく
少量を入れてついてみましたが、少量だからか豆が逃げて、皮が割れません。戦時中みたいに一升瓶に量を多めに入れてつくといいかもですが、酒はほとんど飲まないので一升瓶とかないしね。
ローラーでつぶす
手でむくかプロペラミルを買うしかないか、、、と落ち込んでいたところ妻から「袋に入れて上からパン生地こね棒で潰したら」と、
6.ローラーつぶし作戦が提案されました。
多少皮は割れますが、皮と中身が分離されません。
作戦失敗
どれも「これでいこう!」という手ごたえがないまま、地味に手でむいていたら、子どもが嗅ぎつけて来て、スリ鉢で遊びはじめました。
部屋のアチコチに飛んでいく生豆、それを追っかける猫、はしゃぐ妻、ワルノリする子ども、泥沼化していく事態、、、
ここでリーダジップをとらなければ、家長としてのメンツが、、、世帯主としての権威が、、、なにかいい方法を早く提示しなければ、、、せまられる選択、極度のプレッシャーのなか、
「はっ!」
目に飛び込んできたのは、妻が持ってきたパンの棒、豆が入ったビニール袋。
「これだ!」
ビニール袋のまま棒でつく
ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ、たしかな感触!
くだかれる皮、分離される中身、飛び出さない豆。
パーフェクト!
すべての問題を一度に解決する変革を人はイノベーションと呼ぶ。
「イノベーションを成功させるには、焦点を絞り単純なものにしなければならない。」(ピーター・ドラッカー『プロフェッショナルの条件』)
アゴに手を当て成功者の余裕と貫禄をかもして「ほら棒と袋でいいんだよ。」
あれっ?誰もいねえし、、、
今日も寄っていただきありがとうございます。ゴリゴリ、ゴリゴリ、ゴリゴリ
ー」を飲むにはまだまだ先です。
後日、豆をむきむきしていると、なぜか息子さんが来てくれます。今日はおりこうちゃんに役にたってくれています。お父さんは涙が出そうです。出てませんが。家内制手工業みたいになってきました。
「すまん息子よ、この30万円のコーヒー豆脱殼機さえ買えれば、お前にこんな苦労を、、、」
「きっと、いつかこのブログで儲けるからな!秒速で稼ぐからな」
絶対無さそうな未来を妄想してしまいましたが、この豆をむくといった、収穫物を手で加工するみたいな行為は人間の本能とか古いDNAにがっちり組み込まれているのかもしれません。
そんなこんなで、息子ちゃんの頑張りもあり、やっと全部むけました。
しかし、ここでもう一つの問題が発生しました。それが「シルバースキン」という薄皮です。
シルバースキン
一番左が茶色で硬いシルバースキン。真ん中が白くて薄いシルバースキン。右端がない状態。
これがなかなかとれないんすよ。爪でガリガリしても簡単に取れなくてね。
野菜の皮むきスポンジを使ってみましたが、うまくとれない。削るようなカンジになって実も削っちゃう。焼けば剥がれていくはずなので、最初は低温で長めに焼いてみたいと思います。
パーチメントコーヒー焙煎
やっと試飲ができるところまで来ました。ざっとおさらいしますと、パーチメントという皮つきのコーヒーの生豆がありまして、皮つきなので通常の生豆よりもフレッシュでグリーンが濃いのが特徴です。
販売店のコメントには「マスカットや青リンゴの甘い酸味で新鮮なフルーツのようなコーヒー」とあり、
マジか!?
ということで仕入れましたが、どうやって皮をとるか手さぐりで始まり、ひたすら脱穀の日々を経て、さらにシルバースキンをはがしながらのハンドピックを終え、試し焼きして、いよいよ試飲というところです。
これほど長い道のりになるとは…
挽きました。
蒸らします。むっこの香りは、、、、コーヒー抽出世界チャンピオンの抽出メソッドで淹れます。
では、飲んでみます。
!!!!!!!!!!
マスカット、青りんご、酸味、甘味、果実味、ゲイシャ、粉、香り、濃度、違い、アフターテイスト
頭に浮かんだ単語を羅列しました。どんな味かは、ご想像にお任せして、ぜひご自身でお確かめください。
今日も寄っていただきありがとうございます。できること、できないことあるよね。