実は1982年の『ブレードランナー』をきのう初めて見ました。おもしろかったので、時代背景やアキラとの関係をネットで調べていたら、「アキラはブレードランナーの丸パクリだ」なんていうのが検索上位に来てるじゃないですか。ちょっと待ってくれよ。根拠を3つ挙げて正しい情報として否定しときたいと思います。頼むぜグーグル先生よお。
公開年が同じ
『ブレードランナー』は、1982年7月に日本公開されました。
アニメ映画『アキラ』が公開されたのは1988年です。
これだけ見ると、ブレードランナーの6年後に見えるんですが、『アキラ』の原作は漫画なんですよ。『週刊ヤングマガジン』に連載がスタートしたのは1982年12月。
どちらも1982年なんです。『ブレードランナー』からわずか数か月であんなスケールのでかい、緻密なストーリーの漫画が描けるわけないじゃないですか。
影響を与えたのは70年代の映画
『アキラ』の原作者、大友克洋先生は芸術、文学、映画、音楽、など、まあインプットはハンパないです。KING OF DIGGINなんですよ。仕事部屋みたいな写真を見た時びっくりしたもん。やっぱ勉強、研究してんだって。ていうかマニアなんですよ。あらゆるところからインスパイアされて、引っぱってきてますよ。そりゃあ『アキラ』に入れ込んでます。あまり映画に詳しくない私ですが、観た中でこの辺りは影響してると思いました。
『2001年宇宙の旅』(1968)からは宇宙誕生と胎児の姿
『時計じかけのオレンジ』(1971)からは、対立する不良グループの設定
『キャリー』 (1976)からは、超能力で人格が変わり暴走していくところ
『さらば青春の光(Quadrophenia)』(1979年)からは、カプセル(薬)を飲んでいる不良のバイク軍団
本人がそう言っている
アニメ映画『アキラ』の資料を集めた「アキラグラフブック」に大友克洋先生のインタビューがありまして、ブレードランナーについて質問に答えています。微妙なニュアンスを含んでいてちょっとわかりづらいですが、
ーブレードランナーもあとからサイバーパンクと呼ばれてましたしね。でも、大友さんも他のインタビューで同時多発という言葉を使ってらっしゃいましたが。
大友「そういえばね。感じますけどね。」
ー向こうもやってるな。みたいな共感はありますか。
大友「まあ、だいたいああいうイメージっていうのはね、みんな持ってるもんだから。別にあんまりないですけど(笑)」
要するに、似たような未来のイメージはみんな持ってるものだから同時多発的に生まれたもんだということでしょう。
やっぱキューブリックの『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』これらからインスパイアされた天才2人が同じような年月を経て、偶然にも同じ2019年の未来の設定で、リドリースコットは『ブレードランナー』を、大友克洋は『アキラ』を、生んだのだと思います。
シド・ミードの影響
大友先生、当時のインタビューでは微妙に認めてないんですが、近年のインタビュー(大友克洋×河村康輔 未来のイメージを作った人物シド・ミードとは)では、
「ミードが描いた『ブレードランナー』の退廃したディストピアの世界観は大きな参考になりました。」
とあっさり答えています。
ミードというのは、アメリカの工業デザイナー、イラストレーターのシド・ミード。
『ブレードランナー』『スタートレック』など傑作SF映画の美術に関わり、未来のイメージを作った人です。
ブレードランナー2049
いやあ『ブレードランナー』も『アキラ』もどっちも好きだし、キューブリックも好きだし、これも影響してるかも、とか、自分の知見を広げていって、楽しむのがいいんじゃないでしょうか。もちろん『ブレードランナー2049』も楽しみですね。久々に映画館で見たい映画っすね。
AKIRA 4K祭り
今日も寄っていただきありがとうございます。
『ブレードランナー』と『キャリー』はhuluで配信中。
『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』はアマゾンプライムで。どちらも無料体験で見られます。
コメント
コメント一覧 (2件)
もちろんAKIRAはブレードランナーの丸パクリではないです。
https://www.cinra.net/interview/201904-otomokawamura
しかしながら上記記事において‘『ブレードランナー』の世界観は大きな参考になりました。’と本人により言及されているため、この記事のタイトルは誤解が生じるものになってしまっていると思います。
情報提供ありがとうございます。先生お若いときは否定してたのに…。当時さんざん言われてたのでしょう。若さということで。「AKIRAアキラはブレードランナーの影響を受けていない」から「パクリじゃない」に変更しました。