コーヒーの淹れ方で「蒸らしドーム」と「土手」って聞いたことありますか?おいしい淹れ方のコツとして、けっこう定番で言われてる事なんですが、実はピンときてなかったんです。
基本的に「蒸らしドーム」と「土手を崩さない」どちらも味との関係は少ないと思っていました。なので、あまりブログで書いてないと思います。(昔の記事で知ったかぶって書いてるかもしれませんが…)
この長年のおじさんの表に出さなかった弱気な考えに若き世界バリスタチャンピオン井崎英典さんが応えてくれました。
「蒸らしドーム」と「土手を崩さない」 全否定の新しいコーヒーの淹れ方を紹介します
確実においしくなるので、ぜひためしてほしい
蒸らしドームと土手とは
まず「蒸らしドーム」とは、コーヒードリップの際、最初にお湯を注いだときに粉が膨らんでいくのを、キレイにドーム状に膨らませることです。
キレイにドーム状にすることで内部で蒸らしがしっかり行われるという。
キレイに膨らませるのがおいしいコーヒーのコツとされています。
蒸らしドームは確かにおいしそうに見えますよね〜。で、土手ってなに?
「土手」とはドリッパー内のコーヒー粉にお湯を注ぐとき、中心にお湯を落とし、端にはお湯をかけずに、土手のようにします。
土手を作ることで濾過層となり、おいしくない味が土手にとどまり、おいしい味をカップに落とすというものです。
土手を作る、土手を崩さないというのがおいしいコーヒーのコツとされています。
う〜ん…おいしくない味が土手があることで下に落ちない?…あんま実感ないんすよね
蒸らしドームは、焙煎が新しい深煎り豆であれば膨らむし、ドーム状にするのは、お湯のかけ方というテクニックな面が大きいと思う。
蒸らしドーム イコール おいしい味の出し方 という実感がない。
土手理論も実感がない。雑味を含む泡が土手にとどまるという事なんだけど、泡イコール雑味がわからんし、抽出後半の雑味を落とさないという理屈なんでしょうが、後半3分の1の抽出液は雑味って感じないほど薄い。ほぼお湯ぐらいに薄い。なので、ピントきてないんですよね。
どちらも「君はまだまだ味オンチだから、わからないんだよ」と言われたら「そうなんですね」と答えるしかないけど「なるほど!」と思えて、飲んで「あっ違う!」の実感も欲しいじゃないですか。
現状のドリップコーヒーの淹れ方
今の自分が一番よく使うハリオV60でのコーヒーの淹れ方は、粕谷哲さんの「4:6メソッド」をベースにしています。
- 最初にお湯をかけて蒸らすときはドームを作ります。
- 最初の1投2投は中心に注いで土手を作ります。
- 3・4・5投は土手を崩すぐらい湯量を増やして重さで落としていくので、土手は崩します。
という中途半端な感じです。教えを守りつつも、実感ないので、なし崩し的にオレ流になった部分もあります。
そんな情けないコーヒーおじさんの長年の疑問に応えてくれたのが井崎英典さんです。
井崎英典さんとは
井崎英典さんは2014年のワールドバリスタチャンピオンシップにてアジア人初の史上最年少の世界チャンピオン 。
井崎さんのコーヒーの淹れ方の特徴は「揺すり」という工程が入るところで、お湯とコーヒー粉をかく拌して均一にコーヒー成分を抽出するというアイデアです。
抽出量:約2杯分(300g)
コーヒー豆:18g(中挽き)
お湯の温度:92 ℃
浅煎り : 2~3℃高め
深煎り : 2~4℃低め
お湯を3投 60g / 60g /180g
- 湯通ししてドリッパーを温める
- コーヒー粉とドリッパーをスケールにのせゼロセット
- 1投目スケールで60gになるまで注ぐ
- 注ぎ終わったらドリッパーを円を描くように3回ほど揺する
- 蒸らし時間は注湯開始から約1分まで
- 本抽出2投目>60gを 約10秒で 注湯
- 3投目>180gを注湯
- 3回ほどドリッパーを揺すり、均等にお湯と粉を攪拌
- 抽出時間は開始から約3~4分に収める
揺すりとは
コーヒードリッパー内のコーヒー粉とお湯を均一に交わらせるためにドリッパーごと軽く揺すって撹拌します。この「揺すり」をドリップの最初と最後に行うコーヒーの淹れ方になります。
今までのコーヒーの淹れ方では、蒸らしドームを作りましょう。土手を作り、土手を崩さないとされてきましたが、その常識を覆すものですね。
蒸らしの前に揺すって撹拌。最後も揺すって撹拌。蒸らしドームも土手も関係ありません。コーヒー粉とお湯を均一に触れ合うようにしましょう。ということですね。
理屈的に共感・納得する部分が多く、特に「揺すり」はおもしろいと思ったので、即試してみました。
普段の自分のコーヒーの淹れ方に「揺すり」を加えてみたらフラットな味になると感じました。
ということで、「揺すり」がどれぐらい味に影響するのかを、有り無しで飲み比べて、さらに濃度計で計って検証してみましょう。
揺すり有り無しで淹れてみた
同じ条件で2つのカップを用意して、「揺すり」あり・なし、「土手」あり・なしで違いを飲み比べてみます。
抽出量:約1杯分(150g)
コーヒー豆:10g(中挽き)
お湯の温度:92 ℃
お湯を3投 30g / 30g /90g
1投目注いでドリッパーを円を描くように3回ほど揺すります。1杯分だと湯量が少ないのでやりにくいな。
2投目を注いでいきます。
左が揺すりなし・土手あり。右が揺すりあり・土手なし。
3投目注ぎ終わったら、最後もう一度ドリッパーを揺すります。
揺すりなしバージョンは土手が崩れてしまいましたが、どちらも抽出が終わりました。
さて違いがあるのでしょうか?事前に会社で試したときは「フラットな味わいになるなー」ぐらいの所感でしたがどうなんでしょう。
まずは通常の揺すりなし、土手式ドリップはいつもの味ですね。
揺すりの効果は
んんんんんんん微妙!
酸味をやや感じて、味がちょっとはっきりしてるかな。味の解像度がちょっとだけ高い
最初試したときのフラット感は、今回感じなかったね。では濃度を計ってみましょう。
揺すり無し0.98%
揺すり有り1.03%
コーヒー「揺すり」のまとめ
味がちょっとはっきりして、濃度はちょっと高くなる
数字は嘘をつかない。このちょっとした差を作るのがプロの技でもありますからね。ちょっと挽き目が荒かったかな。でも使えそうなメソッドだと感じますね。何度もやって調整して自分のものにしたいと思います
まずは1回やってみてね。ちよっとでも違いを感じたらOK
今日も寄っていただきありがとうございます。
コメント
コメント一覧 (5件)
やけに濃度が低いように見えますが、どういった要因があるのでしょうか?
挽き目が粗かったですね。細かくしたら1.4%ぐらいまで上がりました。
この著書のなかで井崎さんは「水はドリッパーの側面にしっかりかけるべきだ。理由はそうしないと側面にある粉に水が触れないからだ」と言われていると思います。ですが、一般的には側面に水をかけると水のままサーバー(カップ)に入ってしまうのでよくないといわれています。そのあたりの検証していただけないでしょうか。
コメントありがとうございます。
今の現時点での私の理解と感覚値てきなことでいうと2点あります。
深煎りのコーヒーであれば、土手ありで中心に注ぐスタイルがベターかなと。
浅煎りのコーヒーであれば、全体にお湯を注いで、コーヒー粉を動かしながら、重さをかけて、早く落としていく短時間抽出がベターかなと。
なので井崎さんの淹れ方はどちらかというと、浅煎り〜中煎りに合うと思っています。
一度、思いっきり深煎りのコーヒーで、土手有りの中心ドリップと土手なしの側面ドリップをやってみようと、思ってはいたのですが、ズルズルときています。近いうちに。
通りすがりです。
私は自然にやるようになったのですが、土手が残ると均一にドリップできない気がして揺りをしてました。
味の違いはわかりませんが(笑)