コーヒーの味の表現に「コク」というのがあります。そもそもコクとはなんでしょう。英語ではbody,richとかでしょうか。甘みがあり、焙煎深めのコーヒーなのでしょうか。コクのあるコーヒー豆、コクのあるコーヒーの入れ方、コクの出し方を紹介します。
「コーヒーの味がわからない。コクってなに?」という人も多いのではないでしょうか。味覚はちょっとでも違いがわかれば、 大丈夫です。消去法で選択肢を絞りながら、わかる違いを積み重ねていけば「コクこれか!」ってたどり着けます。たどり着きました。
コーヒー飲み始めの頃はわかったような、わからないような状態でした
そもそもコクってなに?っていうのもあるよね
それでは世界37カ国以上・3000杯以上のコーヒーを飲み、自家焙煎するコーヒーマニアのコーヒーブログevery coffeeが「コーヒーのコク」について考察します。
コクとは
まずご自身の実感として「コクを感じたことがあるか」からスタートしましょう。
コーヒー以外で「コク」を感じる食べもの・料理を思い浮かべてください。
カレー、ラーメン、チーズ、スープ、といったところでしょうか。
いろんな食材を煮込む系の料理が一般的ですが、私の中ではコクの実感は「干し椎茸」です。
しかし、そのコクの味覚はあってるのでしょうか。そもそも論コクとはなんでしょう。コクを定義しないとはじまりません。「コクとは」で検索すると、wikipediaが出てきました。
コクに対する明確な定義はないが、甘味・うま味・苦味・塩味・酸味の五基本味の総和、さらに香りや食感などが加わり、濃厚感や広がり、複雑さなどを併せ持つと考えられている。 「おいしい」と感じられる食品の中にも、果実などコク味の少ないものもあり、「おいしさ」とコク味は必ずしも同義ではない。
wikipediaより引用
いろんな味の総和で香り食感をともなった濃厚感のある広がりや複雑さのある食べ物か。
まだいまいちピンときませんね。
では「コク」っていう言葉がどうやって生まれたのか、言葉から探ってみましょう。
「コクの語源」でググると諸説ありまして、
まず「濃い」からきている説。
次に、最上を意味する「極」という説。
あと、はなはだしいという意味の「酷」という説。
コクという言葉の語源もあやふやですね。
英語ではbodyかな。 フルボディとか言うよね。「rich in flavor」っていう言い方もあるね
そういえば数年前にNHKの「チコちゃんに叱られる」でコクについて放送がありました。(残念ながらエピソードのアーカイブには残っていませんでしたが)
チコちゃんによると「コクは味ではない」ということです。
コクは味覚だけでなく、複数の感覚で感じるもの。
味覚は「うま味・甘味・酸味・塩味・苦味」の5つ。それに加えて「余韻・香り・食感」が絡み合って感じる美味しさがコクであると。
そして近年このコクの正体が判明したそうです。それが「グルタミルバリルグリシン」。
グルタミルバリルグリシンは、グルタミン、バリル、グリシンの3つのアミノ酸からなる化合物で、炒めたり、煮込んだりすると、糖や油と結びつきコクの状態を作り出すという。
でもグルタミルバリルグリシンの成分自体には味はないんだって。
なるほど、いろんな味と香りや食感といった要素もあるのね。干し椎茸にコクを感じていたのは味以外の特に「余韻」の部分か
いくつかキーワードは出てきたね。この要素を多く強く感じられると「コク」といえるんじゃない
甘味・うま味・苦味・塩味・酸味・香り・食感・濃厚感・複雑さ・余韻
コクのあるコーヒー
先ほどのキーワードをコーヒーに当てはめてみると、次の7つの項目が相当しそうです。
豆・焙煎・濃度・味・香り・水質・後味
この7項目を単純な2択にして「どっちがコクを感じるか」で、コクのあるコーヒーを絞りこみます。
豆:シングルとブレンド、どっちがコク?
まずコーヒー豆はシングルオリジンとブレンドでどちらがコクを感じやすいかと言うと、2つ3つ違うコーヒーを使っているブレンドのほうがいろんな味があり、複雑な味になりますね。
焙煎:浅煎りと深煎り、どっちがコク?
消去法でいきますと、浅煎りじゃないよね。次に深煎りも深すぎると苦味だけになっちゃうから、酸味と苦味があり、その両方の中間の味「渋み」もあり、また「甘み」がある状態の「中深煎り」ぐらいが最も味の要素が多いと言えるでしょう。
濃度:薄いと濃い、どっちがコク?
これはわかりやすい。濃いほうでしょう。
味:単一的な味と複雑な味、どっちがコク?
これもわかりやすい。複雑な味。
香り:弱い香りと強い香り、どっちがコク?
やっぱり強い香りのほうでしょう。
水質:すっきりとまろやか 、どっちがコク?
すっきりよりも、まろやかのほうでしょうね。
後味:短いと長い 、どっちがコク?
後口が長く続くほうでしょう。口の中に広がるロングトーンの余韻ですね。
これでだいぶ絞られましたね。まとめますと、「コクのあるコーヒー」とは次のようになります
ブレンドの中深煎りで、濃い複雑な味の、香り高い、まろやかな、後味が長く続くコーヒー
いやいやいや、どうやってそんなコーヒーが飲めるのよ!
コクのあるコーヒーの入れ方
それではコクのあるコーヒーの淹れ方について説明していきましょう。
「ブレンドの中深煎りで濃い複雑な味の香り高い、まろやかな、後味が長く続くコーヒー」を分解して準備していきます。
- コーヒー豆はブレンドで中深煎り(シティロースト)のコーヒーを選びます。
- 香り高いということなので、焙煎から2・3週間以内の新しいコーヒー豆を淹れる直前に挽きます。
- まろやかな水質のコーヒーにするには、ネルドリップでしょう。
- コーヒー豆を挽いて粉にします。ネルドリップなので粗挽きにしたいところですが、濃い複雑な味なので、粗挽きより細くして「中挽き」としましょう。
まとめますと、「焙煎が新しい中深煎りのブレンドコーヒー豆を中挽きでネルドリップ」で淹れる。
では実際淹れてみましょう。ネルドリップで2杯分コーヒー粉24gを使って、お湯を300g注湯しました。
濃度を計ってみますと1.85%かなり高濃度です。
では飲んでみましょう。
コクのあるコーヒーの味は
う〜ん….たしかにコクの条件を満たしてはいるけど、好きかと言われたら、ノーかな
決しておいしくないわけじゃないけど、好みじゃないな。濃すぎるし、濃度を下げたとしても、好きな方向性じゃないな。
でも、今まで飲んだ好きな味のコーヒーで、コクを感じるのもあったよね?
ある…口の中に広がって後味がいい…そうか!わかった!ヒントは干し椎茸だ!
コーヒーのコク再発見
ブレンドの中深煎りで、濃い複雑な味の、香り高い、まろやかな、後味が長く続くコーヒー
コクの定義から導いた上記の「コク」は、西洋的なコクじゃないでしょうか。カレー的な煮込んだ濃厚さのコク。
で、私の好きな「コク」は、和風のダシ的なコクなんですよ。
濃さじゃなくて、口の中に広がる余韻の長さのコク
干し椎茸って複雑で濃厚な味じゃないんだけど、旨みがあって口の中に広がる余韻が長くつづくんですよ。
なので、私が好きなコクのあるコーヒーを再定義しますと、次のようになりました。
中深煎りで、いろんな味わい、酸味苦味甘みがあるものの、濃度は高くなく、香り高く、スッキリしつつ、後味が長く続くコーヒー
コーヒーのコクまとめ
コーヒーのコクには2種類ある。
洋風的ないろんな味がして香り高い、濃いまろやかなコーヒー
和風的ないろんな味がして香り高い、すっきりでも後味が長いコーヒー
無理矢理ひと言で言えば、そうなるかな。
あと、今回新たな発見だったのは、調べていくなかで、果物はコクがない食べ物に挙がっていたこと。たしかにカレーやラーメンに比べたら対局の単一的な味だね。
コーヒーにはフルーティーな味を目指してる浅煎りのシングルのコーヒーがあるけど、こういうコーヒーの表現には「コク」はあまり適してないのかもね。
オレンジやらチェリーやらって言うけど、大枠で言うと同じで、コーヒーでコクって言ったら、もっといろんな味の要素がいるのかもね。
コクは便利な言葉だから使いがちだよねー<
うん…昔の記事は自信ないなー。わかってる風に書いてたらスイマセン
今日もevery coffeeに寄っていただきありがとうございます。コクの反対は「キレ」ですね。リツイートなり反応良ければ書きます。
コメント
コメント一覧 (2件)
点滴ドリップ、楽しく拝見しました。水出しに合う、コーヒー豆はありますか?
ご視聴ありがとうございます。水出しの点滴ドリップであれば、浅煎りのコーヒーが好きです。アイスコーヒーといえば深煎りですが、点滴水出しであれば、浅煎りのコーヒーの方が好きです。YouTube動画でも使用したSOT COFFEE ROASTERさんのエチオピアは、酸味と甘みの絶妙な味でした。
浸け置きの水出しは酸味傾向が強くなるので、中深煎り〜深煎りのブラジル、コロンビアの苦甘のしっかりした味わいの豆が好みです。