「コーヒーが冷めないうちに」を読んでいたら、コーヒーが冷めるまでの時間が気になり実際計ってみました。ついでに冷めたコーヒーについて、深堀りしてみましょう。冷めたコーヒーが好き、 美味しいという人もいますし、プロはコーヒーは冷めてから味をみるという事もあります。

今は冷めたコーヒーも飲めますが、最初は抵抗感ありましたね



コーヒーの味を分析して評価したいなら冷めたコーヒーも飲めたほうがいいね
冷めたコーヒーはまずい?


コーヒーと温度について、いくつかトピックを挙げていきましょう。本当に「冷めたコーヒー」イコール「まずい」と言えるのでしょうか。たしかに飲み慣れないと、抵抗感がありますが、コーヒーの味を判断し評価する「カッピング」では、冷めたコーヒーの味もチェックする事も知ってほしいと思います。
温度によって味が変わる
人間の感覚器官的なことでいうと、味覚は口にするものの温度によって味の感じ方が変わります。
キンキンに冷えたアイスクリームを食べてて、溶けてやわらかくなっってきたら、すげー甘いと感じたことはないでしょうか。
砂糖を加えたわけでもないし、アイスクリーム自体が糖分が増したわけでもなく、アイスクリームの温度が変わっただけですよね。
人間が感じられる味覚は口にしたものの温度によって変わるということです。特に極端に熱いもの、冷たいものは味を感じにくい。
もっと詳しくいうと、温度の影響は味の種類によっても違います。
- 甘味は、体温に近い温度のときに最も甘く感じる
- 酸味は、温度による変化を受けにくいが、他の味の強弱で感じ方が変わる
- 苦味は、温度が高いほどマイルドに感じ、低くなるにつれ強く感じる
(一般社団法人 半田市医師会 健康管理センター「味覚について」参照)
だからコーヒーって飽きないのかも、コーヒー1杯でも飲むタイミングの温度によって味が微妙にかわっていくからね。
熱々はおいしくない
コーヒー抽出技術を競う世界大会「 ワールドブリューワーズカップ(WBrC) 」で優勝した粕谷哲さんの日本チームは大会で審査員に提供するコーヒーを、コーヒーサーバーを回して、少し冷まして提供したそうです。
温度を下げて甘みを感じやすくしたんだと思います。


カッピングでは冷えた味も評価する
コーヒーの品評会では「カッピング」というコーヒーの味をチェックする方法があります。このカッピングでは冷えたコーヒーの味もチェックします。
カッピング教室に参加した際、日本スペシャルティコーヒー協会の会長が「コーヒーは冷めてから味をみます」とも言っていました。


専門店では冷えたコーヒー
焙煎したコーヒー豆だけを販売している専門店で試飲用として冷めたコーヒーをビーカーに入れて置いてありました。
「どうぞ」とすすめられて口にしましたが、数年前の当時はおいしいとも思えなかったし、味もわからなかったし、冷めたコーヒーにもビーカーにも抵抗感がありました。当時はその都度ホットをわざわざ淹れるのはめんどくさいからだろうと思っていました。
しかし、今思うとそれだけじゃなく、本当にコーヒーの味を評価するなら、温度があると味覚のジャマだからという理由もあると思います。





プロは冷めたコーヒーで味を評価して、ちょっと冷まして出すこともあるんですね
酸化して酸味が出る?


冷めたコーヒーの酸味を「酸化」と言う人がいるそうですが、ちょっと違和感があります。そもそも酸化とはなんでしょうか。
酸化とは
【酸化】《名・ス自》ある物質が酸素と化合すること。
コーヒーにおいても「酸化」と言ったら酸素と化合することで性質が変わることでしょう。
コーヒーの酸化で注意しないといけないのは、コーヒー豆・粉の状態での保存方法ですね。
コーヒー液の状態で酸素と化合して味が変わるには、数時間はかかるんじゃないでしょうか。なので、数分程度の「冷めたコーヒー」イコール「酸化しておいしくない」と言うのは、ちょっと言い過ぎじゃないかなという気がします。
おいしい酸味とまずい酸味
つぎに酸味の正体は何でしょう。酸味と一言で言っても、いろんな原因の酸味があります。まず、2つに分けられますね。
おいしいポジティブな酸味とおいしくないネガティブな酸味です。
- おいいしい酸味…良質なコーヒー豆の味
- まずい酸味…品質が低い豆、半焼け等焙煎が悪い、焙煎から日が経った古いコーヒー
おしくない酸味が出ている場合は、そもそもコーヒーの温度の問題ではないので置いといて。
おいしい酸味の場合でも、コーヒーの温度が下がると、おいしくなくなるのはなぜでしょうか。
温度が下がると酸味の感じ方が変わる
冷めたコーヒーを酸味が強くなったと感じることがありますね。それは飲み物の温度が下がったことで人間の味覚が変わったからです。
もうちょっと詳しく言うと、温度が下がると酸味というよりも、苦味を感じやすくなります。
苦味が強くなったことで、苦味と酸味のバランスが変わって「にがすっぱい」みたいに酸味にネガティブな要素が加わるからとも考えられます。



冷めたコーヒーは酸化したから酸味が出るというより、飲み物の温度が下がって、味の感じ方が変わるからなんだね
コーヒーが冷める時間は?


「コーヒーが冷めないうちに」を読んでいて、コーヒーが冷めるまでの時間と温度が気になったので実際に計ってみました。
沸騰を83℃に設定したお湯を注いで、サーバーにドリップしてカップに移しました。物語に登場したコーヒーは淹れたてでも、少しぬるいという設定なので、低い温度にしました。
カップのまま放置して冷めるまでの時間と温度変化を記録しました。
時間(分) | 温度(℃) | 状態 |
0 | 57.8 | 少しぬるい |
5 | 49.7 | |
10 | 45.0 | |
15 | 40.9 | |
20 | 37.9 | |
25 | 35.0 | まだほんのり |
30 | 32.8 | ギリギリ |
32 | 31.8 | 冷めたい |
後日、ちょっと熱めの70℃のコーヒーでも計ってみました。35分33.7℃でギリギリ、40分後の31℃で冷たくなりました。
季節によっても前後するでしょうし、飲みながらだとコーヒーの量が減っていくので、時間はもっと早くなります。



1杯のコーヒーが冷める時間は32〜40分ぐらい
冷めたコーヒーまとめ


- 冷めたコーヒーが必ずしもまずいとは言えない
- 酸化したんじゃなくて、温度が下がると味覚が変わる
- 1杯のコーヒーが冷める時間は32〜40分ぐらい



意外と「コーヒーを飲む温度」っていうのもおもしろいテーマだね



エスプレッソで淹れたコーヒーって冷めると急に苦くなるんだよねー。エスプレッソは熱いうちに飲め!
コーヒーは苦味・酸味・甘みの味のバランスが温度によって変わるから、飽きないのかもね
今日も寄っていただきありがとうございます。このために正月3日間ずっと計っていたという。
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