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川島良彰「コーヒーハンター 幻のブルボン・ポワントゥ復活 」感想

この本の概要は川島良彰さんというコーヒー屋の息子が単身エルサルバドルに留学。押しかけでコーヒー研究所に入り、コーヒーの栽培を学び、uccにスカウトされ、ブルーマウンテン、ハワイコナ、インドネシアでコーヒー農園を開拓。コーヒーを求めて旅し、幻のコーヒー「ブルボン・ポワントゥ」を現代に蘇らせた。という半生が描かれています。

まさにコーヒーバカの一代記から私のアンテナに引っかかった箇所からピックアップして紹介します。

目次

ブルボン・ポワントゥとは

まず、ブルボン・ポワントゥを説明しましょう。

ブルボン島(現レ・ユニオン島)で過去に栽培されていたコーヒーの品種です。特徴はカフェインが普通のコーヒーの約半分、豆の形状が細長く、香味に優れています。

島でコーヒー栽培が行われなくなり100年近く経ち、野生化し絶滅しかかっていたコーヒーを現代に蘇らせたという話です。

私も過去、レ・ユニオン島産のブルボン・ポワントゥではありませんが、ブラジル産の同品種を取り寄せて飲んでみました。豆の形状が細長く焙煎が難しかったですね。この本にもuccのプロの焙煎技師が苦労した様子が出てきます。

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おいしいコーヒーの見分け方

川島さんのおいしいコーヒーの見分け方が書かれていました。

コーヒー豆は大きな豆ほどおいしい、大きければ良いというものではない。豆の大きさは品種の特徴であって、サイズイコール品質ではない。

ブルボンやモカは小粒だし、マラゴシッペのように巨大な豆もある。

なので、おいしいコーヒーの見分け方としては「密度が高く重い豆がおいしい豆」なんだそうです。とにかく、よく実の締まったコーヒーほどおいしい。1粒ずつの密度が高く重量のある豆は寒暖差のある地域で生長し、完熟して収穫された証でもある。

コーヒーを買ったとき同じ重さでも嵩(かさ)が大きかったり、小さかったり感じたら、小さい方が正解。

ずっしり重い豆はおいしいということですね。

コーヒーは世界第一位の産業

コーヒーは生産国・消費国を合わせると、1億2500万人の人が関わる産業なんだそうです。これだけ大きな産業は他にはないということで、それだけ世界中の人々の生活に根ざしたものなんですね。

世界の共通文化としてコミュニケーションができたり、グローバルな視点での問題の共有であったりが可能なのかもしれません。

サスティナブルコーヒー

コーヒーの価格はNYの取引市場で価格が決まるそうです。

これが一つの問題でもあります。国際価格が下がると、消費国のコーヒー業界は喜ぶけど、生産者は生活ができなくなるので、低価格の毒性の強い農薬を使ったり、肥料を減らしたりしてコストを下げようとする。それでも生活できなくなり、借金のかたにコーヒー農園を奪われ、債権者は手間のかかるコー匕ー農園を潰してしまう。

逆に価格が高騰すると、資本家が参入して、原生林を伐採してコーヒー栽培を始める。

この繰り返しなんだそうです。

生産国の人々に、消費者がどんなコーヒーを求めているのかを伝え、消費国の人々には生産国の現状や正しい栽培に関する情報を流し、互いに安心してコーヒー産業に携わり、コーヒー愛飲家が安全でおいしいコーヒーを飲みつづけられるようにすること、これこそ僕がやらなくてはならない仕事だ。

感想

コーヒーに関する問題意識を明確にしてくれた本

コーヒーを焼いたり、飲んだり、書いたりしていると、なにかしら、いい面・わるい面、感じるわけですが、一般消費者としては漠然としたものでした。

この本を読んで、生涯をコーヒーに捧げてきた川島さんの体験や知見を知ることで、コーヒーに対することが整理された感じがします。

まず「コーヒー」はコーヒーノキを育てるところからはじまります。それには自然環境が必要です。次に実を収穫して種を取り出す生産農家がいて、その生豆を取り扱う人。生豆を焙煎して販売する人。焙煎豆を抽出して飲み物を提供する人。そしてコーヒーを飲む人。これらが無理なく平等に長期的に循環していく世界であってほしいと思います。

自然の恵みを人の手で生産し消費しているわけですから、環境も生産も消費もフラットに支え合って、長期的に持続していく、サスティナブル(持続可能性)な考え方が1杯のコーヒーを通して、コーヒーのことだけにとどまらず、広まってほしいと思います。

オレだけが儲かればいい。めんどくさいから農薬まこうぜ、儲けたいから安く買い叩こう、とにかく安く飲めればいい。それぞれの立場で自分だけが得すればいいという考えで行動すると、どこかに無理が生じます。環境汚染、貧困、品質低下… 短期的には良くても、巡り巡って、ぐっちゃぐちゃになっちゃうよ。

「今だけ金だけ自分だけ」オレがいま儲かればいい。

それはもう止めませんか。だっさ!と感じる若い人も多いかもしれませんが、実際はそんな奴らが金の力で牛耳ってる世の中です。

スペシャルティコーヒーやサードウェーブコーヒーなどに若い人が魅せられる背景には、こういった資本主義に対するアンチテーゼであり、なにかしらの可能性を感じているからかもしれません。

大きな話になってしまいましたが、「私はコーヒーで世界を変えることにした」と言う、我らの兄貴コーヒーバカ川島良彰さんの情熱に触れて、「ミートゥー」と思いました。

今日も寄っていただきありがとうございます。コーヒーバカは最高の称賛ですからね。

もう一杯おかわりいかがですか

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